取締役を解任するには
このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
今回の記事は、「取締役の解任」について紹介します。
ー 今回のご相談内容 ー
友人と株式会社を共同経営しており、友人は株を持っていませんが、取締役にしています。
友人と営業方針が違ってきたので辞めさせたいと考えています。
私が株式の100%を持っているのですが、自由にクビを切れるのか教えてください。
「教えて!高島先生!」
当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。
自分が100%出資して設立した会社を友人といっしょに経営したり、友人に経営を任せたりすることはよくあることです。
当初は、お互い信頼関係を持っていますから、友人を取締役にしたり、代表取締役にしたりします。
ところが、会社を任せて、しばらく経つと、会社の業績が良くなってきたり、悪くなって来たりと、結果が出始めます。
すると、当初は、仲が良く信頼関係を保ってきた友人でも、経営を拡大するか縮小するか、取締役の給料や交際費が多すぎるのではないかなど経営方針を巡って、出資者である株主と取締役間で意見が対立することとなります。
この場合、取締役の選任権、解任権を持っているのは、株主です(会社法329条、339条)。
以前は、解任するためには、株主総会で3分の2の賛成を得ることが必要でしたが今は過半数の賛成で済みます。
だから、あなたが100%の株式を持って、友人が全く株式を持っていないというのであれば、あなたが言うとおり、株主総会を開いて、すぐに友人を取締役から外すこと(解任)ができます。
ただし、取締役を解任する際に気を付けなければならないことがあります。
取締役は、通常、定款で2年の任期を定めています。
友人が取締役として、仕入れ業者などから個人的にリベートをもらっていたなど取締役の解任に正当な理由があるときは、任期途中で解任しても何の問題もありません。
しかし、単に、あなたと経営についての考え方が違うというだけで、友人を任期途中で取締役から解任するというのであれば、友人が任期途中で解任されたことにより被る損害を賠償する必要があります。
任期途中で解任されたことにより発生する損害は、通常は、解任されたときから任期満了時までの報酬と考えられます。
だから、月70万円の報酬を支払っていて、任期が1年残っていたとすると、840万円の年収分を賠償して、取締役を辞めさせるということとなります。
友人を取締役にして経営を任せるときに、株式を3分の1以上持たせると、経営権争いなどが生じたときに簡単に辞めさせることができなくなるし、後の株の取り扱いで揉めることにもなるのでなるべくなら持たせない方が賢明です。
また、任期途中での解任は残期間の報酬を賠償しなければなりませんから、任期を1年と短くしておくのも1つの方法です。
高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。