ネット投稿の著作権

今回お届けするのは、前回に続いて「ネット投稿の著作権」に関する相談です。

 

このブログを読んでくださる依頼者の中には、知的財産や特許等に関心の高い経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

 

今回の記事は、特許取得に関する注意をご紹介します。

 

ー 今回のご相談内容 ー

私の作ったホームページには面白い体験談が多数投稿されています。
一冊の本にまとめて出版しようと思いますが問題はあるでしょうか。

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


インターネットは世界中から情報を集めることができます。

特に、人気のあるサイトでは、投稿も活発で、役に立つ、あるいは面白い投稿もたくさんあります。

それを一冊の本にすることを考えたあなたはビジネス的には目の付け所が良いと思います。

しかし、法律上は問題があります。個々の投稿は、投稿者それぞれの体験談が書かれており、その表現は投稿者独自のものです。

したがって、あなたのホームページに投稿されたとしても、投稿の一つ一つにそれぞれの投稿者の著作権が成立するのです。

したがって、あなたがあなたのホームページに投稿された体験談を出版しようと思うのであれば、投稿者全員の同意を得なければ出版できないのです。
あるいは、同意を得た投稿者の投稿のみを出版することができるのです。

これは、投稿者が仮名や匿名を使って投稿した場合も同じです。

実際に、同様のケースが裁判で争われました。

ホームページ管理者と出版社が掲示板の投稿を文庫本にまとめて出版したところ、書き込みをした投稿者がホームページ管理者と出版社に対し、販売差し止めと損害賠償請求を求めて訴訟を起こしたのです。

裁判所は、仮名の投稿にも著作権を認め、損害賠償請求だけでなく、何と出版差し止めも認めたのです。

投稿者の出版への同意を得なければ、出版も差し止められてしまうし、著作権使用料相当の損害賠償もしなければならなくなります。

匿名や仮名の投稿が多い掲示板で、後から、投稿者の承諾を取るのはかなり難しい面もあります。

そこで、事前に、将来出版を予定しており、投稿は出版物に掲載されることがあることを承諾して、初めて投稿できる仕組みにしたら、このような問題は避けられると思います。

また、出版した場合、掲示板を無料で利用させていることから、著作権料は支払わないことも明確にしておく必要があります。

掲示板を設置したときには、将来人気が出て、面白い、あるいは役に立つ投稿がたくさんされるかどうかはわからないものです。

だから、掲示板を設置したときから、説明したような仕組みを取るなんて考えられないと思います。

しかし、こういう掲示板であればビジネスになると思ったら、事前に承諾を取るようにしておいた方がビジネスチャンスにつながります


高島法律事務所では、知的財産権に関わる紛争において多数の解決事例をもっています。

まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、あなたと紛争解決・悩み解消のお手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。


 

関連記事

  1. 業務委託契約を結ぶ際の注意点
  2. M&Aの一形式「会社分割」のメリット
  3. 3社以上の契約を結ぶ際に重要なこと
  4. 会社に出資をする際の注意点 ―未公開株―
  5. 公正証書の作り方
  6. 取引先が民事再生の申し立て
  7. キャラクタービジネス・商品化権における注意点
  8. 特許取得の意味
PAGE TOP