会社の株を会社に買い取ってもらえるか
会社の役員や従業員を辞めるから、あるいは、株を持っていても仕方がないから、などという理由で、会社に株を買い取ってもらいたいという相談を受けることは少なくありません。
しかし、法律上、会社に株を買い取るよう請求できる場合は限られていて、会社の役員や従業員を辞めるから、という理由では会社に株の買い取りを要求する権利はありません。ましてや、会社の株を持っていても仕方がないという理由では、会社に株の買い取りを請求する権利もありません。
会社に株を買い取ってもらえる場合は、主に次のようなケースです。
①株式に譲渡制限がなかったのに定款変更により譲渡制限が設けられた場合
②会社が事業の譲渡をする場合
③会社が合併する場合
④種類株については、買い取り請求がある場合もありますが、普通の会社では種類株は発行されていませんし、ちょっと複雑で簡単に説明しにくいので説明を省きます。
ただ、前記事情が発生したからといって、全員に株式買取請求権が発生するわけではありません。上記例のように、譲渡制限の設定や事業譲渡、合併の際に、株主が株式買取請求権を取得するのは、事前に反対を会社に通知し、かつ、株主総会で反対した場合だけです。
事前に反対する旨の通知を会社に送らなかった株主は株主総会で反対をしても株式買取請求権を行使できませんし、事前に反対する旨の通知を送っていたのに株主総会で反対の決議をしなかった株主も、株式買取請求権は行使できないこととなります。注意しましょう。
また、譲渡制限の設定、営業譲渡、合併などの効力が生じる20日前から前日までの間に株式買取請求権を行使しなければなりません。この点も注意が必要です。