従業員のアルバイトを理由に解雇できるか
大阪の女性教師が風俗店でアルバイトをしていたこと、大分市の女性職員が顧客の隣でお酒を注ぐラウンジで働いていたことが続けて報道され、公務員のアルバイトが話題になっています。
公務員のアルバイトは、国家公務員法、地方公務員法で、禁止されています。
しかし、一般の会社の従業員のアルバイトは、法律では禁止されていません。この点、誤解している経営者の方が多いようで、従業員がアルバイトをしていたら、その従業員をクビにできると思っているようです。
しかし、従業員のアルバイトを禁じる法律はありませんから、雇用契約、あるいは就業規則で従業員のアルバイトを禁止していなければ、そもそも、従業員に対しアルバイトをするなと言えないこととなります。
では、就業規則や雇用契約でアルバイトを禁止していれば、アルバイトをした従業員を直ちに解雇できるかというと、そういうわけでもありません。
雇用主である企業が従業員のアルバイトを禁止できる理由は、従業員がアルバイトをすると
①肉体的、精神的に、本業に集中できなくなり本業に支障が出るおそれがあること、
②アルバイト先が本業と協業関係にあると、企業秘密などがアルバイトに利用されあるいは流出する可能性があること、または、アルバイト先が儲かり本業の勤務先が儲からないという相反関係にあること
③従業員のアルバイトの職種によっては雇用主である企業のイメージや社会的信頼が損なわれること
にあります。
逆に言うと、これらのおそれがなければ、従業員がアルバイトをしても、企業は雇用契約や就業規則に違反していても、解雇することはできません。
特に、従業員が本業の給料だけでは生活が苦しいという場合、アルバイトを理由に解雇するのはなかなか難しいと思います。