意外に早い「売掛金の消滅時効」に注意しましょう。

今回お届けするのは、前々回(「債権回収・売掛金回収にお悩みの経営者様、解決策をお教えいたします。」)、前回(「内容証明郵便による債権回収・売掛金回収に効果はあるのか。」)に引き続き、「債権回収」「売掛金回収」に関する相談です。

 

このブログを読んでくださる依頼者には、売掛金の回収でお悩みになっている経営者の皆様も多いのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

今回は、「意外に早い売掛金の時効消滅!」というテーマでお届けさせていただきます。


ー 今回のご相談内容(前回と同様)ー

 

私はIT企業を経営しています。お客様にWebサイトや社内システムを納品する仕事です。そんな中、あるクライアント様が納品したにも関わらず、代金を支払いません。取引先が、商品の代金を「払う。払う。」と言いながらなかなか支払ってくれません。

仲の良い社長から紹介していただいたクライアントということもあり、強く言い切れずに2年が経過しています。
まあいつかは回収できるだろうと見込んでいたのですが、知人より「「時効」により回収でいない可能性がある」と聞き焦ってご連絡させていただきました次第でございます。

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


 

 

あなたの売掛金が、例えば商品の売買代金であれば時効で消滅している可能性があります。

早急に弁護士に相談して、時効にかかっていないか確認してもらい、時効ぎりぎりであれば、訴訟を起こしてもらう必要があります。

 

皆さんは、不動産などを自分の物として使っている場合、10年あるいは20年経過すると、最初は他人のものでも、時効で本当に自分のものとなることはご存知だと思います。

これを取得時効と言います。

 

逆に、お金の支払義務(逆から言えば売掛金や請求権)も全く支払わずに5年や10年が経過すると、支払義務がなくなってしまいます。

これを消滅時効と言います。

 

この消滅時効は、普通の人のお金の貸し借りについては10年で、会社の貸し借り、売掛けは5年で時効にかかります。

 

しかし、この売掛金も、種類によっては、5年より短いものがあります

例えば、工事代金は3年、卸売り、小売りの商品代金は2年、運送代金は1年、宿泊費用も1年です。

即ち、建設業なら売掛金は3年、小売・卸売業なら2年、運送業なら1年、旅館・ホテル業なら1年で、売掛金は時効で消滅してしまうのです。

忙しくしていて、払いの悪いところやトラブルのあるところは請求書だけ出して後回し、なんてしていると、

1年2年はあっという間に過ぎてしまいます。

 

ここで、普通の人が勘違いしているのは、請求書を出していれば、時効は中断されると思っている点です。法律上、「請求」は時効を中断すると書いてあるのですが、この「請求」とは「裁判上の請求」のことで、訴訟を起こさないと時効は中断されないのです

 

また、内容証明郵便を出しておけば時効が中断すると思っている人もいますが、これも誤りです。

内容証明郵便を出しても6ヶ月以内に訴訟を起こさなければ時効は中断されません。

 

では、時効中断の方法は、訴訟しかないのかと言いますと、そうではありません。

①売掛金の一部を支払ってもらう、

あるいは、

②売掛金の残高確認書に署名捺印をしてもらう、

など、相手があなたに売掛金があることを認めたと言える証拠を残しておけば時効は中断されることになります。

 

売掛金の管理については、くれぐれも消滅時効に注意してください。

 


高島法律事務所では、売掛金・債権回収の分野において多数の解決事例をもっています。

また、代表の高島秀行は、債権回収会社で取締役を務めています。売掛金が回収できない状態が続くことはとても悩ましいですよね。

まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、解決までのお手伝いをさせてください。経営者である依頼者が、本業にいち早く集中できるよう共に解決に邁進いたします。


 

関連記事

  1. 従業員のアルバイトを理由に解雇できるか
  2. 共同経営と出資比率
  3. M&Aの一形式「会社分割」のメリット
  4. 会社に出資をする際の注意点 ―未公開株―
  5. 業務委託契約を結ぶ際の注意点
  6. 公正証書と合意書の違い
  7. トラブル交渉における注意
  8. 闇金からの借入に返還義務はない
PAGE TOP