M&Aではここに気をつけましょう。企業買収時の注意点

今回お届けするのは、M&Aに関する相談です。

 

このブログを呼んでくださる依頼者の中には、事業拡大に向けてM&Aをお考えになっている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

 

今回は、「損をしないM&Aをするための注意点」というテーマでお届けさせていただきます。
 

ー 今回のご相談内容 ー

現在大幅な事業拡大を目指している会社の経営を行なっています。会社の規模をさらに一段階拡大させるためにM&Aを検討していますところです。法律的な観点からM&Aに向けて注意しなければならないことは何があるのでしょうか。

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


新聞紙上で、上場企業や外資などが会社を買い取るいわゆるM&Aのニュースを見ることは少なくありません。

このM&A(企業買収)は、ベンチャーや中小企業にも無縁ではありません。

 

同業者あるいは取引先が、苦境に陥ったとき、あるいは、後継者がいないというときにその会社や事業を買い取れば、自社の事業規模を拡大することもできますし、市場における自社の地位を高めることにもなります。

相手が持っている商圏やノウハウなども丸ごと取得することができます。

 

ただ、中小企業におけるM&Aは、専門家に相談せずに、安易に、相手が会社のために出資した金額で買い取るというようなことが行われており、買い手が損をしているケースが多く見受けられます

 

M&Aには、

 ①会社同士を合併する方法、

 ②株式を買い取る方法、

 ③営業譲渡を受ける方法、

 ④単に資産だけを買い取る方法

などがあります。

 

一般に、中小企業では、②の株式(会社)を買い取る方法で、行われることが多いです。この場合、株式をいくらで買うのか代金を決定することが一番重要です。

 

その際に、決算書(貸借対照表や損益計算書)により、相手方の会社の資産と負債(借金)、年間営業した場合の利益に基づいて、代金を決めた方がいいでしょう

 

例えば、土地や特許などの目ぼしい資産が何もなく、借金は相当あって、年間の営業で赤字であれば、これまで事業にいくら投資してきたとしても、株価は0円となりますから、それを基準に考える必要があります。

 

中小企業においては、決算書に、借金や連帯保証、融通手形など、都合の悪い数字が載っていないことも多いので、これらについても、よく調査する必要があります。

 

これらの決算書に載っていない借金などを簿外負債と言います。

 

株式を買い取って、いざ営業を引き継いだら、思いもよらなかった債権者から契約書を示して返済を迫られるということにもなりかねません。

 

相手の会社の財務内容などがはっきりしなかったり、相手の会社がややこしい債権者とトラブルになっていたりする場合には、相手方に、破産や民事再生の申立をしてもらい、裁判所を通して、それらの問題をクリアにしてから、会社を買い取るという方法もあります。

 

また、荒っぽい方法ですが、低額で相手の会社の株式を買い取ってから、自分で、民事再生の申立をするという方法もあります

 

いずれにせよ、相手の言いなりの金額で買うのではなく、相手の会社がどういう状態かをよく調査確認して、いくらで、どういう方法で買い取ったら自社が利益を得られるかを、充分検討することが必要です

 


高島法律事務所では、企業買収の分野において多数の解決事例をもっています。

企業買収は、経営者のみなさんにとって大きな決断です。必ず失敗しないためにも慎重な判断が求められます。

まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、企業買収に向けたお手伝いをさせてください。経営者である依頼者が、損をしない納得できる結果を得るためにも共に邁進いたします。


 

関連記事

  1. 特許取得の意味
  2. 裁判手続 ―訴状が来た!―
  3. 協議事項 ―契約書に協議条項を入れておけば安心か?―
  4. 知的財産権とは
  5. 本が安売りされない理由を知っていますか?
  6. M&Aの一形式「会社分割」のメリット
  7. 3社以上の契約を結ぶ際に重要なこと
  8. 代表取締役(社長)を辞任するには?
PAGE TOP