取引で契約書を交わさない場合のリスク
今回お届けするのは、前回に引き続き「契約書」に関する相談です。
このブログを読んでくださる依頼者の中には、契約書を結ぶことの多い経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
今回の記事は、取引で契約書を交わさない場合のリスクついて紹介します。
ー 今回のご相談内容 ー
弁護士さんは、取引をするときには契約書を交わすようにいいますが、当社の業界では契約書を交わす慣行もないし、小さな会社なので、いちいち契約書を作成し内容を確認している余裕もありません。
契約書を交わさないのは仕方がないと思うのですがどうでしょうか。
「教えて!高島先生!」
当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。
どの弁護士も取引をするときには、「文書を交わせ」と言うでしょう。もちろん私も言います。
それはなぜでしょうか。
契約書は、お互いがこの内容で約束したという証拠です。
もし、契約書を交わさなければ、何を、いつ、いくらで、いつまでに納入したのかもわからず、いつまでに納入されるのかもわかりません。
また、どういう場合にキャンセルができるのか、キャンセルした場合には、賠償が必要なのか不要なのかなどについても、全くわからないのです。
契約書を交わさなくても、お互いの意見が一致して、双方がそれに従えば問題はありません。
しかし、お互いの言い分が違ってトラブルになってしまうと、あなたは覚えていると言うでしょうが、相手は違うことを言ってくることでしょう。
すると、話し合いではなかなか解決できず、裁判で決着するということになります。
裁判では、お互い自分に都合のよい有利なことしか言いません。
裁判官は神様ではありませんから、あなたの言い分が正しいとしても、必ずしも真実に合致した判決がなされるわけではありません。
判決で認められないということは、世の中で通らないということです。契約書を交わしていないと、あなたの主張が正しくても、世の中で認められない場合があるということがリスクになるのです。
契約書を作成するには、時間がかかるし、弁護士に頼めば費用もかかります。
他方、契約書を交わさなければ、あなたの主張が正しくても通らない場合が出てくるのです。
それを裁判所で立証するとしても、そのときは弁護士費用も時間も労力もかかるのです。
それは、契約書を弁護士に見てもらうよりも大きなコストとなります。
そしてそのようなコストをかけた結果、あなたの主張が認められないという最悪の事態を招く可能性もあるのです。
ここからは、経営判断の問題です。
あなたが、
①トラブルが起きる可能性は少ないので、トラブルが起きたときには、自分の主張が通らない場合があっても仕方がない、と考えるか、
②普段から、費用労力を払っておいて、できるだけトラブルを避けるための方策を取っておこう、と考えるか
ということなのです。
契約書を交わさないことのリスクを知った上で、契約書を交わさないのであれば、それはやむを得ないことだと思います。
高島法律事務所では、契約書の作成の分野において多数の解決事例をもっています。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、公正証書作成のお手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。