3社以上の契約を結ぶ際に重要なこと

今回お届けするのは、前回に引き続き「契約書」に関する相談です。
 
このブログを読んでくださる依頼者の中には、契約書を結ぶことの多い経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
 
今回の記事は、3社以上の契約を結ぶ際に注意してほしいことついて紹介します。
 

ー 今回のご相談内容 ー

当社は、A社に内装工事を依頼したところ、A社はX社から仕入れた商品を当社に納入してきました。
 
当社は当然、内装工事の依頼を了承して商品を納入したのかと思っていました。
 
ところが、A社は、そのような契約は知らないから内装工事はしないと主張し、X社は、商品の代金は当社に支払えと言ってきています。

どうしたらよいのでしょうか。

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


 

事業を行う上で、当事者が2社の場合でももちろんそうなのですが、3社以上の当事者がかかわる場合には、誰がどういう役割をするかきちんと契約書を交わしておく必要があります。
 
誰でも物事を始めるときは、前向きで当事者間でうまく行っているように見えるものです。
 
しかし、複数の当事者が考えていることは、実は、それぞれ違うことかもしれないのです。
 
ただ、書面にしないことからお互いうまく行っていると思っているだけだと言うことはよくあることなのです。
 
質問のケースでは、貴社は、A社に工事を依頼し、X社の商品はその内装工事代金に含まれていると思っていたけれど、実は、そうではなく、商品はX社から直接購入するという話で、それを使ってA社が内装工事するという話だったのかもしれないのです。
 
また、貴社は、A社との間で契約が成立していたと思っていたけれど、A社では、まだ契約は成立まではしていないので、貴社が思っている代金等の条件では、引き受けられないと思っていたかもしれません。
 
要するに、複数の当事者がかかわる契約で、きちんと契約書を交わしていなければ、契約が成立しているかどうかもわかりませんし、どの点について誰がどういう責任で行うかも明確にはならないのです。
 
すると、ご質問のようにトラブルになった場合には、当事者がそれぞれ自分に都合のいいように解釈して主張することになり、大きなトラブルとなってしまうのです。
 
質問のケースでは、貴社は、A社と内装工事請負契約を締結し、商品代はA社との契約に含まれているので、A社にしか支払わないとするほかないと考えます。
 
しかし、契約書がない以上、貴社がA社に内装工事を発注するに至った経緯、貴社にX社が商品を納入した経緯など事実関係を細かく調査した上で、貴社がA社と内装工事請負契約を締結したことを証明して行かなければなりません。
 
これらは、訴訟になることもあるでしょう。
 
訴訟では、時間、労力、費用をかけて、証明しようとしても、証明できないかもしれません。
 
ところが、事前に契約書を交わしておけば、訴訟では簡単に証明できますし、そもそも訴訟にもならないでしょう。
 
したがって、3社以上の当事者が関与する契約には、事前に契約書を交わすことは重要なのです。
 


高島法律事務所では、契約書の作成の分野において多数の解決事例をもっています。


まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、公正証書作成のお手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。


 

関連記事

  1. 取締役の責任 ―お金の管理―
  2. 契約書に印鑑を押す前に気をつけてほしいこと
  3. 公正証書と合意書の違い
  4. 他社のピンチを自社のチャンスにする「営業譲渡」
  5. 財産開示制度(平成16年4月1日施行)の解説! 裁判勝訴にも関わ…
  6. 取締役の責任 ―安易な賛成に注意!―
  7. 取引で契約書を交わさない場合のリスク
  8. 売掛金の回収方法:調停による売掛金回収
PAGE TOP