会社に株の買取を請求できるか?
今回お届けするのは、「会社への株の買取の請求」に関する相談です。
このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
今回の記事は、「株の買取の請求」について紹介します。
ー 今回のご相談内容 ー
在職中、会社から言われて会社に5%(10株50万円分)出資しました。
この度、退職することになったので、会社に株式を買い取って欲しいのですが、いくらで買い取ってもらえるのでしょうか?
「教えて!高島先生!」
当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。
一般の方は、株式(出資金)と貸付金の区別が付いてないので、在職中に、依頼されて出資していたのだから、退職するときには、当然会社が買い取ってくれる(お金を返してくれる)と考えがちです。
しかし、株式(出資金)は、貸付金と異なり、原則は会社が解散して財産が残らない限り、返してもらえないお金なのです。
そこで、会社法は、合併や営業譲渡などについて株主総会で反対したのに合併や営業譲渡などが可決されたなど特殊な場合にしか、株主が会社に対し、株式買取請求する権利を認めていません。
したがって、あなたが、会社に対し、「退職するから、在職中に出資した株式を買って欲しい。」と言ったところで、会社が、「無料なら引き取るけど、買うのであれば要らない。」と言われてしまえば、どうしようもありません。
会社の言い値で売却するか、そのまま持っているしかないのです。
上場企業の株式であれば、市場で売却して、出資した金額の全部または一部の回収が可能です。
しかし、上場していない会社の株式については、将来上場見込みであれば別ですが、普通の会社については市場がありません。
株式を持っている割合が50%以上であれば、会社を支配することができるので購入する人を探すことは可能です。
しかし、50%未満の非上場株を買う人はいません。
したがって、残された方法は、あなたが株主として権利行使をしていく他ありません。
株主総会招集通知を必ず出すよう要求し、毎年、決算書類も送付するよう請求しましょう。
株主総会には必ず出席し、会社の業績について質問をし、配当できない理由など経営責任を追及していくこととなります。
そのような権利行使を続けていくことは大変ですが、相手もその相手をしていくことは労力を要するので、ある程度の金額で買い取ることを提案してくるかもしれません。
よく、税理士に計算してもらったら、1株100万円くらいになるはずなので、買取請求して欲しいと相談される方がいます。
しかし、それは、会社を解散させた場合の話で、株式の50%以上を相手が持っている場合には、株主総会で会社の解散が可決することがないのですから、1株100万円は絵に描いたもちで実現性はありません。
会社が買い取ってくれると言った場合には交渉材料となりますが、前述したとおり、法的に株式買取請求権が認められない以上、相手が嫌だと言われたらそれまでなので、税理士に計算してもらった数字はあまり役に立ちません。
高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。