中小企業で株主代表訴訟されることはあるのか?
このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
今回の記事は、「株主代表訴訟」について紹介します。
ー 今回のご相談内容 ー
当社は、上場もしていない中小企業です。
それなのに、株主である弟が社長である私に対して株主代表訴訟を起こしてきました。
こんなことってあるのですか?
「教えて!高島先生!」
当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。
新聞紙上を賑わす株主代表訴訟と言えば、上場企業の株主が、不正な経営を行った社長を始めとする取締役に会社の被った損害の賠償を求めるものです。
株主代表訴訟で、有名な事件の1つが大和銀行(現りそな銀行)事件です。
このケースは、大和銀行ニューヨーク支店において、従業員が証券取引で約11億ドルもの損を出して、それを隠蔽したために、大和銀行が3億4000万ドルもの罰金を支払うこととなったのは、役員が監督義務を怠ったためだという理由で、株主が会社を代表して、役員たちに対し損害賠償請求して、7億7500万ドル(約830億円)もの賠償請求が認められたものです。
さて、この株主代表訴訟は、中小企業では無関係かというと、そうでもないのです。
中小企業であっても、株式会社であれば、株主は株主代表訴訟を起こすことができます。
実際に、裁判所にかかっている株主代表訴訟のうち、上場企業に関するものは全体の3分の1しかなく、残りの3分の2が、上場していない中小企業で起きているそうです。
その多くの原因は、同族による経営権争いです。
どういうことかと言うと、中小企業の場合、特に創業者から次世代に会社の株式について相続がなされると、同族で株式を持ち合うこととなります。
こういうケースでは、社長をしている方は会社を支配しており満足しているでしょうが、同族で会社の経営に関与できていない方は面白くありません。
このような状況で、社長が同族会社であることをよいことに、会社の財産と個人の財産を混同したり、会社の財産で投機を行って損を出したりすれば、経営に関与していない同族株主は、この時がチャンスとばかり株主代表訴訟を起こしてきます。
これが、意外にも、上場していない中小企業で、多くの株主代表訴訟が起こされている原因なのです。
代表取締役や役員には、経営に関して広い裁量が与えられているので、普通に経営をしていれば、会社に損害を与えたとしても、それは単なる経営の失敗として、賠償責任は認められません。
しかし、会社の財産と個人の財産の公私混同や裏づけのない投資で、会社が損をしたような場合には、賠償責任を負うこととなります。
最後に、株主代表訴訟で、役員に賠償責任が認められたとしても、役員は会社に対し損害賠償するのであって、株主に対し賠償するわけではないことを覚えておいてください。
高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。