経営に影響を与える名義株
このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
今回の記事は、「名義株」について紹介します。
ー 今回のご相談内容 ー
「名義株」というものを耳にしたことがあります。
これは一体何でしょうか。
「教えて!高島先生!」
当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。
名義株というのは、株式を取得する際に、自分の名義を使用せず、他人の名義を借りて出資をしたために、他人名義となっている株のことです。
今は、株式会社を設立する場合に、株主は1人でも設立できますが、平成2年に商法が改正される前は、株主は7人いなければ設立できませんでした。
そこで、会社を設立する際には、社長が出資金を全額出すのに、家族や親類、友人などの名前を借りて、会社を設立するケースが多かったのです。
この名義株については、株式の所有者が、名義人なのか、出資者なのかよくトラブルになります。
即ち、会社社長Aが友人Bの名義を借りて会社を設立した場合に、この株は、Aのものなのか、Bのものなのかです。
過去、西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載問題に関連して、そもそも西武鉄道の株主は誰なのかということで名義株が問題になりました。
この争いは、最高裁判決で決着がついており、実際に出資金を出したAのもの、即ち、名義株は出資者の所有であるとされています(最高裁昭和42年11月17日判決)。
西武鉄道では、どうしてこの名義株の問題があれほど騒がれたかと言うと、西武鉄道が上場企業だからです。
上場企業は、上位株主10者及び特別利害関係者が80%を超えて株式を持っている場合には、上場が廃止となります。
これは、株式の市場での流通割合、流通数を確保し、株式の公正な価格を確保しようとするものです。
そこで、有価証券報告書には、この株主の保有株式数を記載することとなっています。
西武鉄道の場合、名義株を本来の所有者であるコクドのものであるとすると、上場廃止基準に該当することとなり、上場廃止をされることとなったことやその結果、西武鉄道の株主が市場で株を売却できなくなり損害を被ったことなどから社会的に問題とされました。
上場していない中小企業では、西武鉄道のような問題は生じません。
しかし、相続税対策に名義株を利用することは、税務署から脱税と判断されるおそれがあります。
また、実際に、出資を行なった人が亡くなった際に、会社の経営権を巡り、名義株が誰のものだったのか、訴訟などで争われる可能性があります。
名義株がある会社では、会社の実情に合わせて名義株をどのように整理したらよいか、税金と法律の両面から専門家に相談して、解決しておく必要があります。
高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。