IPO|上場することのメリットとは?
このブログを読んでくださる依頼者の中には、経営者の方もいるのではないでしょうか。経営者の皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
今回の記事は、「IPO」について紹介します。
ー 今回のご相談内容 ー
私は、インターネット電話サービス関連事業を行うものです。当然、株式の上場を目指しています。
株式を上場するということは、どういうことで、通常の上場していない会社とどこが異なるのでしょうか。
「教えて!高島先生!」
当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。
「マザーズ上場」、「ナスダック上場」「東証一部上場」などとベンチャー企業が株式を上場するといった話をよく耳にします。
この株式を上場するというのは、簡単に言うと、誰でも、その会社の株式を取引できるよう市場に登録することです。
上場すると、株式について、いくらで売却できるという相場が立ちます。
したがって、上場すると、その価格で会社に出資してくれる人を見つけ、資金を集めることができるようになります。
借入金は、必ず利息を支払い、元本を返済しなければなりません。しかし、出資金は、返済する必要はありません。
これが上場の大きなメリットということになります。
その他の上場することのメリットは次のようなものがあります。
1 経営者は、所有株式を上場時に売却することによりいわゆる創業者利益を得ることができます。
2 顧客、取引先から信用を得て、取引がしやすくなり、取引条件も有利にすることができます。もちろん借入もこれまでよりしやすくなることでしょう。
3 知名度も上がり、より優秀な人材の確保が可能となります。
また、株式を上場することによりストックオプションという成功報酬を従業員に与えることもでき、これにより従業員にインセンティブを与え、特殊な技能を持つ従業員を雇用することも可能となります。
しかし、上場することは、メリットばかりではなく、上場に伴う負担も生じます。
まず、上場するまでは、株主が経営者自身あるいは親族、知人だけでしたからある程度の法律無視も事実上許されました。
しかし、上場すれば全くの第三者も、経営者の考え方に反対する者も株主となりますから、株主の権利保護を充分に意識し、株主総会招集における手続など法的手続きを遵守する必要があります。
株主は取締役の選解任権を持ちますし、経営者が違法行為により会社に損害を与えた場合には株主代表訴訟を提起することもできます。
また、法律上は配当義務はありませんが、配当のない株式は誰も購入しなくなるので常に配当のことを念頭に置かなければなりません。
株価が下がっても株主から文句を言われるので株価も気にする必要があります。
上場した場合、有価証券報告書や四半期報告書などにより、一般投資家に対し企業情報を開示する義務があります。
その監査を行う監査法人への多額の報酬も発生します。
これは、企業にとって大変な負担ですが、投資家は、企業が開示した情報を前提に、「万が一の場合には返還されなくてもよい」という大きなリスクを負担して出資するのですから、やむをえないと考えます。
大金持ちを夢見るのもよいのですが、上場を考えるときには、上記メリット・デメリットを考える必要があります。
高島法律事務所では、契約書の分野において多数の解決事例をもっています。
まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、お手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。