パソコン教室の中途退学、入学金や授業料の返還は?

今回お届けするのは、消費者契約の「中途解約」に関する相談です。

 

このブログを読んでくださる依頼者の中には、解約に関心の高い経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな皆様にお役にたてるコンテンツになっておりますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

 

今回の記事は消費者契約の中途解約についてご紹介します。
 

ー 今回のご相談内容 ー

パソコン教室を経営しています。入学金と授業料を前払いで支払ってもらっています。
生徒が、途中で退学した場合は、入学金や授業料は、返還しなければならないのでしょうか?

 

「教えて!高島先生!」

当事務所代表弁護士高島秀行がお答えします。


パソコン教室や語学教室、エステなど、長期のサービス提供を前提として料金を前払いしてもらう代わりに、割り引くという料金のシステムをとるところが多いです。
 
業者にとっては、最初に、長期間のサービスを前提として料金を受け取れることは、かなり有利です。
 
しかし、顧客にとって見れば、実際のサービスの提供を受ける前に、長期間の支払いをしてしまうわけですから、リスクが高いこととなります。
 
そこで、消費者保護のために、特定商取引法という法律で、パソコン教室、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚情報サービス(これらは「特定継続的役務提供」と呼ばれています)について、中途解約のルールが定められています
 
結論的に言うと、これら特定継続的役務提供契約において中途解約がされた場合には、業者は、顧客に対し、全額ではありませんが、入会金(入学金)も、前払いした料金(授業料)も返還しなければなりません
 
ご質問のパソコン教室では、中途解約により業者側に損害が発生するときには、入学金から1万5000円以下の範囲で控除でき、また、授業料から既に受けた授業料を引いて、さらに5万円または残授業料の20%のいずれかの低い金額を上限として、控除することができます。
 
しかし、そもそも、契約する際に、受講生に、中途解約など法で定められた事項を記載した書面を交付しておく必要があります。
 
さらに、この法定書面で、中途解約ができること、中途解約により業者が被る損害を控除することができることについて定めておかなければ、中途解約により業者側に損害が発生するとしても入学金や授業料から、上記範囲の損害についても控除することはできません。
 
パソコン教室など特定継続的役務提供契約では、特定商取引法により、顧客(生徒)に渡さなければならない法定書面が、概要書面と契約書面の2種類あります。
 
そして、これらの書面を渡さない場合には、先ほどのように、中途解約により被る損害額を控除することができないだけでなく、刑事事件として、刑罰(100万円以下の罰金)を受ける可能性もあります。十分ご注意ください。

 


高島法律事務所では、消費者契約の中途解約に関わる紛争において多数の解決事例をもっています。

まずは、「相談」という形で、第一歩を踏み出し、あなたと紛争解決・悩み解消のお手伝いをさせてください。経営者である依頼者の力になれるよう邁進いたします。


 

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